2018/4/27の第24回コミュニティ放送のコーナー
「知りたい!エオルゼア:メイキング・オブ・蒼天キャラクターズ」での
もっちーさんによる解説を全て記載しました。


動画:

「知りたい!エオルゼア」コーナーは00:54:20頃から

___________________


蒼天のイシュガルドで登場するキャラクターがどのように考案されて形になっていったのか、
途中で変わった初期設定とかイラストも交えながらご紹介していきたいと思います。


その1 イゼル

最初はこの人からです。
03
なんでイゼルかというと、蒼天の重要人物の中で既存のキャラクターを除くと最初に考案されたのがイゼルだから。

04
モンスターのデザインから生まれたキャラ。

キャラクターを作るときは人によって違って、大きく分けると2パターン:
・まずキャラの設定を作ってから、作ったキャラクターに物語を乗っけていく
・先に物語を考えてから、このお話に必要な役割のキャラクターを当てはめていく

織田さんは普段は物語のプロットを考えてから必要なキャラを当てはめていくタイプ。
このイゼルだけが例外で、キャラクター設定が先で、そこから物語が生まれた。
そして発端がモンスターデザインという珍しいキャラクター。

経緯としてはまず吉田さんがFF14を引き継いだときに戻ります。
このタイミングで吉田さんからデザインチームにFFらしさというものを増すために
FFシリーズの有名なモンスターをいくつか描いてほしいとオーダーが出ました。
じゃわかりましたって言っていくつか描かれたんだけど、イラスト先行だから、
明確な要素とか実装のタイミングっていうのは決まっていないキャラクターもいました。

で、シヴァはその中の1つで、そのときに生まれたイラストがこれ。
05
このイラストから出来上がった。

その後新生をリリースし、シヴァを蛮神にするというのが決まり、実装されるパッチも決まりました。
そのタイミングで世界設定班に、どんな蛮族が召喚した蛮神なのか決めてほしい、というオーダーが来たようです。

蛮神というのは皆さんご存知の通り蛮族が召喚するもの。なので、シヴァは誰が召喚したのか?
いろいろ考えられて、当時まだ蛮神を召喚していなかった獣人たちが候補に上がっていた。
06
だけど、どれもしっくり来なかった。

じゃあどうしようって考えて、生まれたアイデアというのが、
だったらいっそのこと、人が召喚した蛮神にしちゃえと。
07
シヴァというのは氷のモンスターだから、寒冷地帯のクルザスにいる人が召喚したことに。
そしてイシュガルドはドラゴンと戦っている設定と、人の中に敵であるドラゴン族と協力している異端者がいる、という設定に結びつけようとした。
しかも、シヴァの耳が偶然尖っていたので、エレゼンの女性の体に憑依していることにしようと思いついた。

ここまで考えるとあとは動機だけ考えるとキャラクターは出来上がる。
要はなぜ彼女は蛮神を呼び降ろしたんだろうかとか、動機になる願望って何だろうとか。
祈る対象は何だろうとか。

そういうのを考えるときに、旧FF14の時の初期設定を読み込みました。
いろんなアイデアを取捨選択していく中で、シヴァという蛮神を織り交ぜたり、
聖女シヴァとフレースヴェルグの伝説を汲み上げていったので、なんとなく蒼天のシナリオの土台がいろいろできてきた。偽りの歴史とかっていうのは大体ここら辺でできてきた。

このイゼルのデザインというのもシヴァからの逆算。
08
シヴァはツンツンした髪が上がっていて、それを下ろしてロングヘアに。
シヴァは青いタイトな服だったので、それを反転させるということで青いゆったりとしたローブという形に。


その2 アイメリク

08_

アイメリクはイシュガルドの若きリーダーということで、もともと旧FF14時代に、イシュガルドには青太子という若きリーダーがいるという初期設定が存在していた。
09
これは織田さんが14チームに入る前からあった設定。
これをベースにして、ただ細かい設定は考えられていなかったから、
細部をつめて蒼天のメインキャラの1人に据えようということになりました。

じゃあどういう風に考えていったのか。
10
まずメルウィブとかカヌエみたいに、イシュガルドを代表する人物が必要だった。
なので、彼は物語に必要だったから生まれたタイプ。
イシュガルドの「竜と戦う地」「ハルオーネを崇める教会」「隠された歴史と偽の歴史の矛盾」といった要素を体現する存在にしよう、ということでこういう設定が決まった。

アイメリクの基本的なキャラクター設定として決まったので、絵作りを考え始めたんだけど、織田さんは当時この設定を踏まえ、このように。
11
「やっぱこの設定だったらイケメンでしょ」と。
他の代表との差別化を図るためにイケメンにしようということを考えました。

この設定で生まれた当時のアートというのがこちら。イケメン。
12

このイラストまで見た織田さんはさらにこう考えました。
17
「クールな女性副官がいるともっといいよね」と。

要は忠誠心の高いクールな女性キャラが、副官的なポジションとして横にいればいいんじゃないかと。
それは決してデレデレはしないし、恋愛的感情というのも向けない、という書き方ができれば、アイメリクのキャラ性というのを表せるんじゃないかと考えたらしい。

これを踏まえて先ほどみたいにアートが出来上がりました。
18
左は別のキャラクターで、当初は武の副官と文の副官という構想もあった。文武両道で2人。
最終的には右のキャラクターだけがルキアとして残り、左のキャラクターはいつの間にか消えてた。




その3 フォルタン家の人々

19

次はフォルタン家に関して。
蒼天のイシュガルドの売りの1つに、長らく遠くに見えているだけのイシュガルドについに入れるぞ、という要素があった。
物語としても、竜詩戦争でイシュガルド陣営に関わることになるために、
街に思い入れを持ってもらう必要があった。
一時的だけどイシュガルドに住むような感覚になれたら良いんじゃないかということで、
ホームステイ先を考えようということでそれぞれのキャラクターが生み出された。
イイ家族。
20_

イシュガルドの特徴である貴族社会というのを表すために、まず大貴族がいいと。
20
ただ、新生のメインクエストのときは貴族の嫌なところがちょっと出すぎていたかなということで、
第二の実家という感じを受けてもらうためにも、揺ぎない味方であり、
且つ友好な人々であるという必要がありました。
その2つを考えた結果、頼れるパパと、癖が強いけど憎めない兄弟、
という構図はどうだろうかというのが思い浮かびました。

織田さんは、明確な短所のあるキャラクターの方が好きだし書きやすいので、
キャラ作りのときには長所と短所をセットで考えるそうです。
フォルタン家の人々の長所と短所を順番に紹介していきたいと思います。

まず長男。長男っぽい性格。
21

次男。
22

実際そういう立ち振る舞いをしていたでしょう、2人とも。
こういうのをベースにして、物語のそれぞれのキャラクターの喋る内容だったり動き方だったり選択の選び方はできてくる。

23
で、実は最初はオルシュファンを除いて三兄弟という設定だったんです。
最初にこの状態のプロットを吉田さんに提出したときに、吉田さんからフィードバックがあって、
「ちょっとキャラが多すぎるのでは」と。
要は登場人物が多くなってしまうと、個々のキャラクターが掘り下げづらくなるから、
そこのキャラクターを掘り下げるためにも人数は減らすべきじゃないかという話があって、この三男はあえなくお蔵入りになりました。
織田さんいわく、これは極めて正しい判断だった。

三男を丸々なくすかというとそういうわけではなくて、三男の持っていた要素というのをさっきの次男に足している。
さっきの次男だと内容がそっけないので、結果こうなります。
24
長所と短所を足しています。
ここにさらに従者を足して、次男と従者を実質的に2人で1つのキャラクターになるように作っていて、
常にセットで行動するし、キャラ数を多く見せずに相互補完し合うことで、
ほら、遊び人属性のキャラクターって嫌われがちでしょ。最初見たときに「なんだこいつ」て思ったと思う。
その次男をどこか憎めないキャラクターにするっていうことができるんじゃないかと考えた。
ただそうは言っても好き嫌いははっきりするだろうなと思ったとのこと。
ある意味イラッとする所も含めて織田さんの手の上。

いよいよ次、パパ。
25
やたらとステッキを持っていることにこだわった発注書が出てきたということで、
ステッキを持った威厳のある初老男性というのが最初の設定。

これを踏まえて出てきたのがこれです。
26
とにかく渋い。

髪の毛の色がオルシュファンと反対の色になっているが、
血縁関係があるので雰囲気としてはどこか似たような感じにしようということでこうなった。

基本的な設定とかをまとめてデザイナーの方に送ったところ、勢い余って長男と次男のラフまで上がってきました。
27
左下の顔2つが長男と次男。
このデザインがすごく良くて、織田さん的にはこれでやりたいなと思ったんだけど、
いろんなキャラクターを作る場合、当然フォルタン家だけではなくて全部作らなければいけないので、
優先順位をつけていくとまるっきり新規のものは難しいだろうなという判断になり、だったらできるだけこの雰囲気を似せるように作ろうと、髪や顔の組み合わせを探ってもらってできたのが今の姿。


その5 ドラゴン族

28

最初にやったこととして、ドラゴン族の設定を再精査しました。
29
どういうことかというと、蒼天の物語は、イシュガルドと敵対するドラゴンの代表という設定、
そしてかつてシヴァと愛し合ったドラゴンという設定が最低限必要だろうね、ということで
これらはドラゴンの中でも力を持った存在にしたいんだけど、オープニングで巨大なドラゴンが出ていたのを覚えてる方もいると思うんですけど、それを無視できないだろうなと。
うーんどうしよう、と考えたときに、幻龍と七大天竜という設定が考えられた。最初はこれらはなかった。

ただ、幻龍は今回戦うドラゴンよりも高い次元の存在にしたかったので、第三者視点から見守る役割にした。
見守るとは言っても巨大だから連れて歩けない。じゃあどうしようかな、OK、ミニオンとマウントだわ。
30
ということでこういうイラストを描いてもらって、もろもろ話の中の辻褄もきっちり合うようにということで出来上がったんだそうです。

ちなみに当初はメインシナリオをコージさんが書くという案もありました。
あくまでも当初の案であって、なかなか難しいところもあったので織田さんが担当しているんだけど、
いろんなアイデアをコージさんからもらっていて、そのうちの1つがドラゴン族の出自に関わることで、幻龍とか七大天竜の設定を考案したときに重要な核の1つになっているというこぼれ話も頂きました。

そんなコージさんが果たした超大きな仕事がもう1つ。
31
それがドラゴン語。
これで異種族という雰囲気が出せたんじゃないかと思っています。

ここからはドラゴン語あるあるを6つほど。


32
動きがあって初めて物が存在する。なので最初に動詞が文頭に来ます。
食べた、お腹が減ってたから、俺は。ということですね。


33
今の「食べた」というのは実は間違っている。
これもドラゴンの重要な考え方らしい。若干哲学っぽい。


34
吐きながら喋ると現在形、吸いながら喋ると未来形になる。
冒頭のところ、「あぁ~」と吐きながら喋ると現在、「サァー」と吸い込む感じは未来。
イベントシーンでドラゴンが喋っているところはこれに基づいているので、もう1回見るとわかるところはわかるかもしれない。


35
生きているものにはnが入り、生きていないものにはhが入る。
下のsohmはソーム・アルのソームかな?


36
言わなくてもわかるよね、っていうこと。
数千年一緒に過ごしていると、なんとなくわかるじゃん、というのをとことん尖らせた感じ。
お前ちょっとあれで、あれであれだからあれだよね、とか、ちょっとあれ取って、とかそういうニュアンスのものがドラゴン同士では行ける。


37
ゆえに、人がマスターするのは不可能。コミュニケーションを取るには数千年一緒にいないと難しい。
向こうが歩み寄ってくれてるんです。


最後にこのキャラクター。

その6 エスティニアン

38
ドラゴンと人の戦争を描くというのであればこの人を出さないわけにはいかないだろう、
ということで用意されてます。

もともとはジョブクエストの竜騎士のキャラクターとして作られてます。
39_
織田さんはエスティニアンの設定には関わったが、キャラ作りは当時の竜騎士クエの担当者によるもの。

それを踏まえていろいろこういう風にしてみた。
40_
主人公との関係性というのは、師匠であり敵であるという存在で、
言動もミステリアスでわかりにくいものがある。
ニーズヘッグに強いうらみを持ち、復讐心が強いが、
一方でニーズヘッグの力を使って戦うという二面性もある。

このままだと難しいということで一旦再整理することになり、こういう設定を持ちました。
40
1つ目は、ドラゴンとの戦いにおいては、主人公に匹敵するか、それ以上の存在にしたい。
つまり蒼天においてはもうひとりの主人公であるという想定で、主人公の代弁者として扱われている。
2つ目は、すでにアイメリクが優等生として居たので、口が悪いアウトローにしてしまおうと。
プレイヤーの気持ちを代弁させるためにも、実は口が悪いほうが便利なんだそうです。
本音が言いやすいとか、感情を乗せやすいってことなんだろうね。
続いて、アルフィノに対するツッコミ役という風にしてみたんですけど、徐々に兄貴分に。
イシュガルド側の情報を話す役割というのも与えたところ、反発する相手であるイゼルとの関係性も面白くなってきた。

蒼天のテーマの1つに、昔ながらのシングルプレイのRPGでの「仲間との旅」というテーマがあった。
個性の違う4人パーティーというのを想定していて、夜焚き火を囲んで話をして、そういうことだよね。

主人公とセットのアルフィノ、当時アルフィノはすごく生意気で口ばかりだよねとプレイヤーたちからは嫌われていた。しかも凹んでる状態。
そんなアルフィノと、その時敵でしかないイゼル、そしてミステリアスな竜騎士クエのキャラ、という尖ったやつらを合わせるのは、実は織田さん的には結構不安だった。

全員が違った方向を見ているキャラだから仲間になれるか心配だったけど、
逆にそれが良かったのか、書き進めていくうちにエスティニアンの口の悪さや不器用さが活きてきて、
相互のキャラを補完できて、徐々に織田さんが好きになった。
理屈でいろいろ書くタイプなんですが、この辺りは計算じゃないので、嬉しい誤算で、楽しい経験だったそうです。

___________________

もし今面白いって思ってくださった方がいれば、ぜひそれは世界設定班だったり、バトルコンテンツであればバトル班だったり、面白かったよっていう声を直接届けて頂きたいです。
なかなかそういう機会は多くないし、それはスタッフの人たちの活力になります。

今回のような設定画や当初の設定も「こんな物出しても面白いの?」っていう風に思う人がいるので、
皆さんから言っていただくといろいろ話が聞けたりするので、
FATEとかTGSとかファンフェスで直接伝えて頂けるならお願いしたいし、
あるいはTwitterとかFacebookとか公式のフォーラムとかでも「面白かったよ」「楽しかったよ」という風に言っていただけると嬉しいなと思いますので、よろしくお願いします。