海外の配信者Mrhappyさんによる、開発チームの須藤賢次さんへのEメールインタビューです。
FF14速報さんにて内容まとめの記事が既に出ていましたが、一部誤訳もあったので、インタビュー全文を翻訳してみました。

須藤さんへの質問は全部で8個+答えにくいものがあった場合用のおまけ質問2個でしたが、おまけを含め全てに回答してくれたそうです。


テキスト版:Mrhappy Interview w/ Kenji Sudo
動画:(テキスト版に加えて若干補足あり)



1.絶バハムート討滅戦はこれまでで最も難易度の高いコンテンツだったと思います。このようなコンテンツの開発はどのように始まったのでしょうか?3体のボスで思いつく最高難易度のギミックの組み合わせのアイデアを集めて開発した、みたいに思えますが。

開発プロセスは2つの大きな視点から始まりました。
全体のおおまかな構成と、どのようなゲーム体験をプレイヤーにもたらしたいか。

全体の構成としては、まずバトルの流れを考えました。例えば、プレイヤーは最後にバハムート単体と、最初にツインタニアと戦いたいだろうなと思いました。そしてバハムートといえば第七霊災のことを考えると思うので、これを組み込んでドラマチックな展開を作ることを目指しました。
これのおかげで予想していなかったリクエストが吉田Pからありましたが・・・ 。

ゲーム体験の面では、我々の作りたい展開に各種三重奏と群竜の八重奏がマッチしました。
敵から繰り出されるこれらのコンボ攻撃によって、絶の面白さ、難しさ、そして演出面をプレイヤーに感じてもらいたいと思いました。開発内で2.x時代に大迷宮バハムートをプレイしたことのある人たちに、当時どんなギミックが印象的だったか(難しかったかではなく)を聞いて、これらのコンボ攻撃に敵のどのスキルを組み込むかを選んでいきました。メンバーのフィードバックをもとにギミックをどうやって構成するかをパズルみたいに考えていたのを覚えています。

開発の序盤の段階で、元の大迷宮バハムートのデザイナーとプログラマーの2名が今回の新しい絶の開発メンバーに加わることになり嬉しかったです。新しいバハムートを作るにあたって最高のメンバーが再集結することができたので、絶妙な難易度のコンテンツを作ることができたと思っています。

※フェニックスによる復活要素は吉Pのリクエスト。


2.ネールのセリフによって次の攻撃を判断するというギミックがありました。テキストが付随するギミックはゲーム内で多数ありましたが、テキストのみで判断しなければいけないのは今回だけでした。なぜこのようなギミックデザインになったのでしょうか?

1.0のネール戦「紅月下の戦い」で、セリフによって何の攻撃が来るかが変わるという同様のギミックがありました。今回のネール戦では、ここからギミックを持ってきました。

これはネールの原点のギミックであるとプレイヤーは同意してくれると思います。ただ、実装するにあたって否定的に受け取られるかもしれないとは懸念していました。このギミックは判別がとても難しいので、通常の難易度のボスでは絶対に入れられません。ギミックのアイデアを説明したとき、吉田Pとバトルチームがすごく心配していたことを今でも覚えています。でも、このようなめまぐるしいアクションはネール・デウス・ダーナスの特徴だと思っていて、このような印象的なギミックがないと本当のネール戦にはならないと思ったので、せっかくなので入れることにしました。


3.初めて絶バハムートのクリア者が出た時にはどう思いましたか?

いろんな考えで頭がいっぱいでした。初クリアできたチームはすごいな、ちゃんとクリアされてよかった、挑戦してくれてる人への感謝など。

絶バハムート討滅戦のバランス調整についてはものすごく慎重に行いました。これまでのどのコンテンツよりも気を使いました。なので、ワールドファーストのチームはファーストを取れてものすごく盛り上がっただろうなと想像できました。

でも、正直複雑な気持ちはありました。もちろん嬉しかったけど、開発者としては「ついにクリアされたか・・・」と考えてしまいましたね。敗北感という意味ではなく、どちらかというと悲しい感じです。ワールドファーストレースが終わってしまい、開発の序盤から最後のバランス調整まで関わっていた身として、この仕事がついに終わってしまったんだなという気持ち。もうちょっとだけこの緊張感を味わいたかったかなとも思います。この気持ちを言葉で表現するのは難しいですね。


4.絶シリーズの第一弾はタイタンを検討していたが、須藤さんがバハムートを推したのでバハムートになったと吉田Pが言っていました。プレイヤーのノスタルジア以外で、バハムートが最初であるべきと思った理由はありますか?

初めて吉田Pから絶のコンセプトを聞いた時、2つのことを実現しないといけないと思いました。
まず1つ目は、単純に最高レベルの難易度であること。もう1つはプレイヤーが「絶クラス」のボスと対峙しているという気分を味わえることでした。敵、環境、バトルの流れ、音楽、そして全体的なゲームプレイ体験から、どんな挑戦が待っているのかという興奮をプレイヤーが感じられることが大事だと思いました。絶シリーズの最初は大迷宮バハムート関連以外に適したものがないと思ったので、吉田Pにそう提案しました。


5.バハムートが最初だったことで次の絶のハードルが高くなってしまったのではないでしょうか?例えば絶でタイタンのような単独の蛮神では壮大にならないのでは、とプレイヤーは懸念しています。タイタンのような単独のボスで壮大な絶のバトルを作ることは可能だと思いますか?

ご指摘の通り、絶バハムートの後では、単独ボスによるバトルで同様のものを作るのはすごく難しいと思います。絶シリーズのコンセプトに見合う要素が足りなすぎます。

タイタンについては、極よりも難しくできる要素が少なすぎて、無理に絶難易度にしようとすると、タイタンのバトルの独自性が失われてしまいます。個人的には極タイタンが完成形でこれ以上掘り下げるのは難しいと感じています。もしタイタンで絶を作るなら、自分以外が開発を担当した方がいいでしょう。




6.絶の成功により、プレイヤーはIDなどの他のコンテンツでも同様のものを欲しがっています。(例:絶オーラムヴェイル)いつかバランス調整前の須藤さんオリジナルの難易度のIDを吉田さんは実装させてくれると思いますか?須藤さんもやってみたいですか?

多分吉田Pはやらせてくれないと思いますし、自分としてもやりたいと言うことはないと思います。コンテンツを開発するときには、ターゲットのプレイヤー層とスキルレベルに合わせた内容のものに調整することは必須です。
正直言って、コンテンツを作った時にはいつもバランス調整チームの調整なしではクリアできない難易度になっています。我々開発は変なことをやって笑うという機会として捉えていますね(笑)。


7.吉田さんはP/Dとしての実績から、FF14とMMOファンにとってロックスターのような存在になっています。最近は須藤さんも似たような尊敬を集めつつあり、フォーラムで須藤さんへの感謝のスレッドが立ったりしています。開発者として、プレイヤーからそのような反応があることについてどう感じますか?

コンテンツを作るときに常に意識していることは、プレイヤーの記憶に残るものを作るということです。なので、そのような反応があることは嬉しいです。

でも、コンテンツの開発は1人でできることではありません。開発内で他のチームがいるからこそできることです。グラフィックチームは私のぶっ飛んだリクエストに応えて素晴らしい演出やバトルの流れを作ってくれて、プログラミングチームは複雑な戦闘ギミックを構築してくれて、サウンドチームは締め切りのギリギリまで調整に対応してくれました。コンテンツの開発は共同作業で、みんながいなければできなかったことです。プレイヤーの皆さんにこのことを知ってもらえたら、私は一番嬉しいです


8.プレイヤーに伝えたいことはありますか?


FF14の新生から4年が経ちましたが、『ミスターオズマ』こと中川さんと一緒に多くのバトルコンテンツを作ってきました。3.xの後半で新メンバーが加わり、4.0と4.1がリリースされ、今後も個性あふれるコンテンツが追加されていくことになると思います。それらに注目して頂き、そしてフィードバックを頂けると嬉しいです。新メンバー、そしてプレイヤーの皆さんと一緒に、FF14に面白いコンテンツを実装していきます!
ありがとうございます!


おまけ1
バランス調整チームが行う調整についてどう感じていますか?作ったコンテンツが簡単にされすぎだと感じることはありますか?

バランス調整チームに渡す前にもっと自分で直せたなと思うことの方が多いです。また、バランス調整チームに指摘された点が、自分でも既に認識していた内容だったということもあるので、先に調整しておくべきだったなと思ったりします。
ゲームプレイや全体のバランスについて、バランス調整チームはものすごく考えてくれています。特に絶バハムートではこれを強く実感しました。バランス調整チームがいなければ、金バハムートフェーズでのDPS設定は不可能だったでしょう。
コンテンツの難易度が下げられすぎだと感じたことはありません。「どうせバランス調整で難易度を下げられるだろう」と思いながらコンテンツを作っているからです(笑)。
ただ、想定していたゲームプレイ体験が損なわれては意味がないので、そのような要素は絶対に守るべきだと思って、バランス調整チームと議論することはあります


おまけ2
超絶難易度のコンテンツを作る上で、どのような点が好きですか?簡単なコンテンツの開発よりも楽しいですか?


超絶難易度のコンテンツの開発については・・・できれば作りたくありません(笑)。計画の段階から非常に神経を使うし、作ってからも確認しなければいけないことがたくさんありました。ギミックがちゃんと動くか、想定と合っているか。調整段階ではフェーズの間隔やギミックの数で苦労し、実装後も長い間心が休まりませんでした!かなりつらかったです!
レイドのノーマルや極蛮神のような、難しすぎず簡単すぎない中難易度のコンテンツを作るほうがずっと楽しいです(笑)。