Gamer Escape、PlayStation Universe、MMORPG.comの3者による
2016/6/17に行われた吉田Pとのグループインタビューの全文翻訳です。

http://gamerescape.com/2016/06/17/e3-2016-interview-with-naoki-yoshida/


MMORPG.com(以下MMORPG):3.3でレイドファインダーが実装されましたが、何故今なのでしょうか?これまでに実装しなかった理由は?

吉田P:
レイドは高難易度なので、パーティーメンバーを選ぶ際には気を付けなければいけません。同じ程度のやる気を持ち、同じ目標を持った人で集まる必要があります。適当に集まって初回でクリアできるものではありません。自動マッチングだと目標やプレイヤースキルの差で揉める可能性があるため、トラブルを防ぐためにこれまで実装していませんでした。
今ではもう新生後から3年目となり、レイド攻略をやりたい人とレイドに興味のない人でプレイヤー層が分かれてきています。また、とにかくパーティーでレイドに出発したい、経験が積めて練習さえできれば必ずしもクリアできなくても問題ないという人も増えてきています。パーティーが組めなくてレイドに入れないという声が増加してきていたため、通常のパーティー募集以外にも手段を増やすべきだと思いました。

開発チームはさらにサーバーを超えたパーティー募集システムを導入したいと考えていますが、このためにはまずサーバーを超えたチャットシステムを作る必要があります。このチャットシステムの開発に時間がかかるので、実装はパッチ3.5辺りになるかと思います。完成してからいきなり実装するより、待っている間により多くの人がレイドを練習でき、どのような感じか体験できるように3.3で先にマッチングだけ実装しました。


Gamers Escape(以下GE):ディープダンジョンで外で使える報酬は光る武器以外には何がありますか?

吉田P:一番の報酬は光る武器です。他には経験値でレベル上げができます。


GE:ディープダンジョン内で得られる経験値は外のキャラクターにも適用されるのですか?

吉田P:そうです。でもディープダンジョン内では速いペースでレベルが上がるため、外に出た際には入手経験値量は減らされます。中でレベル60になったら外でも60になるというわけではないです。
光る武器については、高いILに設定されています。プレイヤースキルにあまり自信のない人は、ここで得た武器を外でも使ってください。


PlayStation Universe(以下PSU):3.3ではソール・カイのダンジョンが物語と融合していて素晴らしかったと思います。フレースヴェルグが頭上を飛びながらの進行や最後のボス戦闘が、これまでの一部のストーリーイベントよりも良かったです。今後の、例えば4.0でのアイデアを聞かせてください。

吉田P:IDはレベル上げやアラガントームストーンのために周回する目的でも存在しています。周回するのがきつくなってしまうため、所要時間は基本的に決まっていて、あまり長いものはつくりたくありません。しかし、ストーリー的にドラマチックなものは今後も考えています。
次の拡張パッケージでのメインシナリオはほぼ完成しており、これまでにない壮大な内容のダンジョンの実装を考えています。これ以上はネタバレになってしまうため言えません。


MMORPG:新しいパッチは過去のパッチからの積み重ねだと思いますが、3.3や今後のパッチを実装するにあたり、これまでに学んだことや反省点などありますか?

吉田P:これまでの開発経験中に学んだことはたくさんあります。例えば適正なドロップ率の設定や、コンテンツをクリアするまでにかかる時間などです。
もう1つの例は24人レイドがあります。ヴォイドアークを簡単にしすぎて、プレイヤーがそれに慣れてしまっていたと感じています。禁忌都市マハを実装した際に、過去の24人レイドと同様の難易度に戻したところ、多くのプレイヤーから緩和してほしいとの声がありました。これは大きな反省点です。ギミック等に無関心でもコンテンツをクリアできてしまう状態はあまりよくないので、難易度の設定と維持についてしっかり考えなければいけないと思いました。みんなが楽しんでいればそれで問題ないとは限りません。


GE:4.0はストーリー重視にしないという話がありました。どのような予定なのか詳しく説明してもらえますか?

吉田P:ストーリーに関しては以前からの継続です。新生エオルゼアから拡張までプレイしている前提の内容です。しかし3.0においては、2.0をクリアしないと蒼天コンテンツが何も遊べないというフィードバックが特に欧米で多くありました。ストーリーは見てほしいのですが、4.0では新生からのコンテンツを終了させなくても、一部の拡張コンテンツを遊べるようにしたいと思っています。

もう1つ内部で議論しているのは、WoWのジャンピングポーションのようにレベル上げやストーリーを飛ばせるアイテムを実装するかどうかという問題です。中国版ではすでにこのようなものがあります。4.0と同時に実装するか悩んでいます。
WoWでは課金でレベルを飛ばすことができ、FF14でも似たようなことをすることはできます。もちろん課金の利益のために実装するのではありません。新規プレイヤーと既存プレイヤーではレベル差が大きく、特に全てのコンテンツをクリアしたプレイヤーが新しく友達を呼んだ場合、新規プレイヤーは追いつくためにかなりがんばらないといけません。この差を縮めるための選択肢を用意するのもありなのかなと思います。課金要素として実装するかどうかはまだ決めていません。
4.0までしばらく時間があるので、みなさんからのフィードバックをもっと集められればいいなと思います。WoWを知っている多くのプレイヤーとも話しましたが、「なんで3.0で実装しなかったんですか?」と一部から言われました。


PSU:去年は2.xや3.0のストーリーを書いたりキャラクターを作ったりすることについて話をしましたが、当時は1.0からの縛りがないキャラクターについて書くことが一番楽しいと仰っていました。3.xを振り返ってみて、どのキャラクターが一番扱っていて楽しかったですか?

吉田P:1.0、2.0、3.0と続くキャラクターは全体のストーリーと繋がるようにしています。アルフィノはこの目的のために作られました。彼は興味深いキャラクターです。とても頭が良く、良家の出身で、理想家で高い目標があります。同時に、挫折を経験したことがなく、自分自身で物事に取り組むことがなかった。2.xシリーズで挫折のどん底に落ち、そこから立ち上がってリーダーになっていく過程は自分も重視した点です。NPCの中で一番思い入れがあるといえばアルフィノですね。

エスティニアンもお気に入りのキャラクターです。彼が興味深いのはニーズヘッグとの対比があるからです。
ニーズヘッグは人間に妹を殺され、1000年間ヒトを憎んできました。エスティニアンも竜に家族を殺されているので、お互い鏡のように憎み合い、復讐をしたいと思っています。
しかし、ニーズヘッグはずっと孤独で、エスティニアンには仲間がいたという違いがあり、これを3.3のストーリーで表現できたと思います。


MMORPG:蒼天のイシュガルドでは武器や防具の見た目がかなり多様になってきました。ただ、アイテムの効果についてはあまり変化がなく感じています。今後スキルに変化を与えるようなアイテムを実装する考えなどはありますか?

吉田P:武器に特殊スキルやステータスを付けると、これだけが最強装備だ!となって他の装備に見向きしなくなってしまう可能性が高いです。パーティーの8人全員がその武器を所持しているという前提でゲームバランスを調整しなくてはいけなくなります。装備選択の幅を狭めてしまうリスクがあり、その武器前提の難易度になってしまうことはあまり良くないことだと思います。他のMMOでこのような装備を実装して失敗しているのを見ています。
もしステータスの上昇や追加スキルを得られるようなアイテムを実装するとしたら、ものすごく低いドロップ率にするなどして入手を難しくすると思いますが、それもそれであまり意味がないかと思います。このゲームは幅広いプレイヤースキルの方がプレイしています。どのコンテンツを遊びたいかはプレイヤーが自由に選ぶことができ、どんな遊び方でも最終的に似たような強さの装備が得られるようにしたいと開発チームは思っています。アイテムの強さを決めるときにはこれをいつも考慮しています。武器に特殊ステータスやアビリティを追加することは危険なので避けたいです。


GE:ディープダンジョンはライトプレイヤーにとってはとても良さそうなコンテンツですね。ハードコアプレイヤーに向けての新しいコンテンツはないのでしょうか?

吉田P:実はディープダンジョンにはハードコア要素もあります。3.35で実装される際は50層までしかありませんが、3.4か3.5で200層まで実装され、これは完全にハードコア向けです。ほとんどのプレイヤーは200層まで辿り着けないと思います。


PSU:自分の婚約者とちょっと議論になったのではっきりさせたい。私はゲーム内で男エレゼン、彼女は女エレゼンなのですが、アイメリク卿は他のNPCとは違い、恋愛感情とまでは行かないが何か似たような感情を若干表現しているように感じます。これに何か特別な意味はあるのでしょうか?また、PCとNPC感での恋愛的な表現などがストーリー上で出てくる予定はありますか?

吉田P:メインストーリーでNPCがPCに惚れる予定はありません。
理由は、例えばリアルの性別は男なのにゲーム内では女キャラだったりするからです。誰を好きになるか、どのような関係になるかはプレイヤーが選べるべきだと思います。
ただ、メインストーリーとは関係ない部分で、プレイヤーが気に入ったNPCとの恋愛というのは考えてもいいかもしれません。今は他の開発で忙しいですが、恋愛ゲームのような要素を入れても面白いかもしれませんね。


PSU:プリンセスデーで似たようなものがありましたね。

吉田P:そうですね。でも本気になりすぎると、そのNPCがストーリー上で死んでしまった場合大きなショックを受けることになるので、慎重に扱う必要があります。
あとNPCに恋して婚約者と喧嘩しないようにしてくださいね。
お二人ともアイメリクが好きなら、彼のセリフの中で「これは親友に対してなのか、PCに恋愛感情を持っているのか?」と考えさせられるようなものが3.4でもあるので楽しみにしていてください。


MMORPG:
ディープダンジョンはこれまでにないコンテンツで面白そうですね。コンテンツをデザインするにあたり、何か特定のインスピレーションなどありましたか?

吉田P:基本的なコンセプトは、新規プレイヤーと古参プレイヤーが一緒にダンジョンに入り楽しめるということです。ギミック処理などに気を取られるのではなく、単純に楽しみながらより深い層へと進んでいけます。
このコンセプトのもとに、全員がレベル1から始まるようにしました。ローグライクのコンテンツをFF14でやってみたいと思って作りました。
ディープダンジョンでの戦闘やルールは通常のコンテンツとは全く違うので、是非やってみてください。


MMORPG:参考にした特定のローグライクゲームはありますか?

吉田P:日本では『チョコボの不思議なダンジョン』がありました。ディープダンジョンではこれを再現したようなものを目指しました。


GE:E3レターライブではファンフェスの話がありました。特典は何故FF10のミニオンにしたのでしょうか?

吉田P:それはファンフェスでのお楽しみです。

GE:いろいろ予想してるよ!

吉田P:是非考えてみてください!


PSU:ミラージュプリズムに関してですが、以前の話では、見た目的に混乱するので他ジョブの装備は着られないようにしたいと言っていました。また、IDのドロップ品については染色できないものもあります。これを変更するつもりはありませんか?もうプレイヤーはみんなゲームに慣れてきて、ジョブを間違えることはないかと思いますが。

吉田P:ジョブ限定装備の他職でのミラプリは開放する予定はありません。鎧を着た黒魔に詠唱させたくありません。例えばタンクがローブを着用できるMMOもありますが、キャスターが鎧を着ることはできません。FF14でこのようにすると苦情が出ます。まだその制限はなくしたくありません。


PSU:グローブやスカートやズボンで、特定のジョブのみでしか着用できなくなっているものもあります。
この辺りの制限は不要ではないでしょうか?

吉田P:これはよくわかります。多数の装備があるので、申し訳ありませんが正直全てをやるのは厳しいです。特定の全職ミラプリ対応にしてほしい装備があれば、フィードバックをお願いします。どこから手を付けるかの目安になります。