海外メディアFanbyteによる吉田P/Dインタビュー記事から主な内容を翻訳しました。
フリートライアル、NPCの生死、ジェンダー表現、新ID情報 をピックアップしています。


Fanbyte - FFXIV Director: “Don’t Get Too Comfortable” in Assuming a Character Is Safe


フリートライアルの拡張について

今回のパッチ開発では、フリートライアルの範囲拡張の是非も議論となりました。1年半ほど前から、ベースである『新生エオルゼア』の範囲を全て無料にすることを検討していました。パッチ5.3まではフリートライアルのレベル上限が35で、新生のクエストが50まで続くことを考えると、中途半端な感じでした。また、レベル35までプレイすればFF14の基礎は理解できますが、ちょうどこのレベル帯は多くのプレイヤーがあまり面白くないと感じる辺りでもありました。

「世界中のマーケティングチームと一緒に、『実質スターターパックを無料配布することになったら、販売数に影響が出てしまうが、それでいいのか』ということをよく考えなければなりませんでした。それに見合う結果が得られるのかと。」

最終的には、売上は減るかもしれないが、フリートライアルの範囲を拡大することで、より多くの人に触れていただき、より多くの方が月額課金をしてくれるようになる、と判断されました。パッチ5.3で、フリートライアルのレベルキャップはレベル60に引き上げられ、プレイヤーは3.xシリーズを含む「蒼天のイシュガルド」の全てを無料でプレイできるようになります。

さらに、これまでプレイ可能だった5種族に加え、蒼天で追加された種族のアウラでもプレイすることが可能となっています。ジョブは機工士/占星術師/暗黒騎士を含んだ合計13種類になります。人気コンテンツであるディープダンジョン『死者の宮殿』も、これまでは10階までしか行けなかったのが、200階まで行けるようになるとのこと。

「FF14をいつもテレビドラマに例えていますが、『新生エオルゼア』と『蒼天のイシュガルド』がシーズン1とシーズン2のようなものなので、最初の2つを体験してもらうことで『漆黒のヴィランズ』や今後のシーズンのコンテンツへの移行がよりスムーズになり、プレイヤーの助けになると考えました。それに、面白いと感じてもらえれば、シーズン3や4を体験したいというモチベーションも高まるでしょう。」




NPCの死について

――新たなメインの悪役としてエリディブスもとても楽しみですが、私はまだエメトセルクが忘れられません。彼はFFシリーズ最高の悪役だったと思っています。エメトセルクに再度会える可能性はありますか?

「もちろん、二度と出てこない、と言い切ることはできません。わかりませんね。」とニヤリと笑った。

シリーズで最も人気のあるキャラクターの一人になったことを考えると、彼にもう会えないというのは考えにくいが、吉田氏によれば、FF14に登場する多くのキャラクターがどうなるかというのはほとんど決まっていて、キャラクターの人気は彼らの運命にはほとんど関係ないという。

「一部のファンはオルシュファンの話を持ち出して、『人気があったから死ぬことになった』と言う人もいます。我々はむしろ逆だと思ってます」と語る。
「彼の詳細についてはかなり具体的に決めていました。彼が何のために戦っているのか、どんな目標を持っているのか、物事に対してどういうスタンスなのか。彼はある大義のために戦っていました。そしてそれは、彼が初めて登場する前から決まっていたのです。」


FF14では脇役キャラの死は見られるものの、主要キャラを犠牲にすることに対しては消極的ではないか、という批判もある。オルシュファンについては今でも多くのプレイヤーから嘆かれているが、蒼天は今となってはかなり昔の事だ。紅蓮では、主要な悪役を含む何人かのキャラクターが、死んだように見えて本当は死んでいなかった。このような批判があることを開発チームは認識しているのか、またパッチ5.3のサスペンスフルなトレーラーを見て、それがチームが挑戦したい課題なのかを尋ねてみた。

吉田氏によると、主要キャラクターについて「どうせ死なないだろう」という思い込みをよく耳にするそう。
「例えばですが、ウリエンジェはクエスト受注NPCだから絶対に死なないと思っている人がいます。そういう考えは・・・やめたほうがいいですよ!(笑)」 ※2020/7/30 クエスト受注NPCだから、に訂正しました

「『このキャラが離脱する、このキャラが死ぬ」』というのはアドリブで決めているわけではありません。ランダムでもありません。確かに、これまで主要なキャラクターがストーリー上死んでいないというのはあります」と彼は説明した。FF14では、常に戦争や紛争、戦闘が描かれているため、「味方側で犠牲者が出ないというのは非現実的です。なので、怖がらせるつもりはありませんし、脅しではありませんが、『このキャラは安全だ』と過信しすぎないようにしてください。大きなショックを受けることになるかもしれません。」


プレイヤーキャラの性別変更について

最近、FF14の最大のライバルであるWorld of Warcraftは、プレイヤーの自由と表現に関して大きな変更を発表しました。これまではキャラクターの性別を変更する際には15ドルの課金が必要となっていましたが、次の拡張Shadowlandsでこれが撤廃され、ゲーム内の床屋で無料で性別を変更できるようになります。Blizzard社は、性別を変えるためにお金を取る、という昔の決定が "正しいメッセージではない"と感じたとのこと。

FF14では、性別不問の『エターナルバンド』のような機能があることからも明らかなように、ジェンダー問題に真摯に取り組もうとしていることは知っています。今年にはエタバンのドレス/タキシードの性別制限も撤廃されました。しかし、FF14で性別を変えたい場合は、幻想薬を購入するためにお金を払わなければなりません。吉田氏に、このことや自己表現の幅を広げることは、チームとして視野に入れていることなのかどうかを尋ねると、しばらく考えてからこう答えてくれました。

「我々は誰かを批判したいわけではありませんし、『これはこうあるべきだ』と言いたいわけでもありません。例えば、髪型を変えたり、カラコンを入れたりと、即時に、常時変えていけるものがあります。でも、ジェンダーというのはとてもデリケートなテーマで、そういったすぐに変えられるものとは異なります。だからこそ、人は自分のアイデンティティーを誇りに思っていて、自己表現するために精一杯生きているのです。それなのに、私たちはそれをカジュアルに扱っていいのでしょうか。」

これは完全に彼の個人的な意見であり、開発チーム等では様々な意見があるとのこと。しかし、スイッチのように簡単に切り替えられる、というのは吉田氏は違和感があると言う。より自由に変更できるようにすることは「少し軽視しすぎることになるのでは」と懸念しているそうです。


5.3新IDについて

最後に、パッチ5.3の新規インスタンスダンジョン『漆黒決戦ノルヴラント』について伺いました。

「プレイヤーは闇の戦士として第一世界の領域を救いました。そして今、第一世界の人々が手伝おうと集まってきています。プレイヤーが物語の中で関わってきたことが、このコンテンツではたくさん繋がってくる感じです。もちろんIDではありますが、戦っていくうちにわかります。シナリオもすごく盛り上がってきます。なので、フェイスで行ってストーリーを楽しむのもいいかもしれません。」

「いわゆる隠し要素のようなものもあります。なのでいろいろと落ち着いたら、探してみるのも面白いと思いますよ。」