スペイン語のゲームメディアVandalによる
2018/4/11に公開された祖堅正慶さんのインタビューです。

Vandal Game Music - Entrevista a Masayoshi Soken

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まず、この業界に入ることになった流れを教えてください。音楽に情熱を持っていらっしゃることは明らかですが、どうやってゲーム会社に入ることになったのでしょうか?
 
父はオーケストラのトランペット奏者、母は家でエレクトーンの先生をしていたので、音楽に囲まれて育ちました。ピアノは3歳から弾いていました。でも作曲の勉強はしたことがありませんでした。高校で好きだった化学を大学の専攻として選んで、プラスチックボトルのコーティングとか、ガン治療薬とかをやるつもりでした。
勉強をしているうちに研究者になりたいわけではないと思い始め、毎日遊んでいるゲームの方が楽しかったです。就職活動を始めてから「ゲームのサウンドを仕事にしている人がいるはずだ」ということに気付いて、それをやろうと思いました。


スクエニではサウンドデザインや編集から始まり、フロントミッション5の「Blue Stream」といったCM的な音楽も手掛けたり、これまでに幅広い仕事をしてきたと思いますが、何が一番楽しかったですか?

サウンド担当の人たちと鉄拳やソウルキャリバーを朝まで遊んだことです!あれ、これは仕事じゃないですね。


ロックが好きで、Rage Against the Machineが大好きなのは知っていますが、他に影響を受けたアーティストはいますか?

一番好きなロックバンドはRage Against the Machineですけど、NOFX、The Offspring、At the Drive Inとか、他にも好きなバンドはいくらでもあります。ボサノバも好きで、アントニオ・カルロス・ジョビンの大ファンです。いろんなアーティストが自身の曲のアレンジも出しているので、そのようなアレンジから学んでいることは多いです。


マリオバスケ3on3は祖堅さんが初めてフルで担当されたサウンドトラックでした。それまでにもスポーツゲームは経験されていたと思いますが、任天堂とのコラボ作品で作曲するのはどうでしたか?

今やっていることとあまり変わりませんでした。大体、どうやったらゲームが面白くなるかを考えて音楽を作っているだけです。


2006年には聖剣伝説4のサントラに参加されていますが、伊藤賢治さん、関戸剛さん、そして坂本龍一さんといったベテランと一緒に仕事するのはどうでしたか?

僕が担当していた範囲は、既に存在しているBGMを完成させる仕事だったので、どちらかというととにかくタイトなスケジュールに追われていました。「祖堅さん、ちょっと時間余ってませんか?1人では無理なので、手伝ってもらえませんか?」と関戸さんに言われて、軽い気持ちで引き受けたら、頭のおかしいスケジュールでした。1か月半で35曲作れという話だったんです。


その後、FF14の新生とそれ以降の全ての拡張で、サウンドディレクターとコンポーザーをされています。このような壮大な冒険を担当するにあたり、何か得たことはありますか?このようなMMORPGの方が大変ですか?


壮大なゲームから何を学んだか・・・?うーん・・・実際にこのようなスケールでやるのはものすごく大変です。通常のオフゲーとは違い、MMOの方が技術的に複雑で、全体的に作業の難易度が高いです。ゲームも長く、実装されるコンテンツのボリュームも大きいですし、プレイヤーがどのタイミングで何をするかわかりません。


FF14のサウンドトラックアルバム「A Realm Reborn」「Heavensward」「Before the Fall」「The Far Edge of Fate」の中では、どれに一番満足してますか?

全部です!

 
The PrimalsのバンドやEorzean Symphonyといった音楽公演を植松さんや吉田さんと一緒にいくつか開催してきましたが、今後は何をしていきますか?

今後も毎日がんばってゲームサウンドを作り続けるでしょうね。


最後に、ゲーム音楽というジャンルの世界からの認識についてどう思いますか?

ゲームの音を作っている人間として、世界中の人に気に入ってもらえてもちろん嬉しく思っています。でもそれよりも、自分の仕事を通して、プレイヤーのゲーム体験を少しでも楽しいものにできていることが一番嬉しいです。僕は音楽のアーティストではなくて、ただのゲーム好きのサウンドデザイナーなので。